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男性諸君!貧乏ゆすりのすごい健康効果とは?

座りすぎると早死にします!

新型コロナウイルス蔓延の影響で「テレワーク」「在宅勤務」といった働き方が当たり前のものとして受け入れられるようになりました。

実は、あまり喜ばしくない未来を示唆する研究データが既に半世紀も前に出ているのです。 1950年代、ロンドンでは2階建ての「ルートマスターバス」という赤いバスが誕生しました。当時は自動券売機などないので、バスを運転する運転手さんの他に、車掌さんが1人で切符を切る作業をせわしなく行っていました。

その光景を見たモーリス博士という研究者は、当時のイギリスで死亡者の最も多かった病気である心筋梗塞について、「2階建てのバスの中をあくせく往復していた車掌と、ずっと座っている運転手とではどちらが多いのか?」を研究し始めたのです。その結果、なんと車掌より座りっぱなしの運転手のほうが心筋梗塞になる割合が高かったのです(※1)この研究をきっかけに「座りすぎはもしかすると体によくないのではないか」という仮説のもと、世界各地でさまざまな論文が発表されました。


日常的に運動をしないで座っている時間が8時間以上の人は死亡率が約60%上昇したという論文があります(※2) また、座っていたり寝転んだりする時間にほぼ比例して死亡リスクが上がったという論文も存在します(※3)。 世界的にも「座りっぱなしは寿命が縮まる」という結論になっています。 なぜ座りっぱなしは体に悪い? 座っていることがメインの生活を英語では「セデンタリー・ライフスタイル」と呼びます。

さまざまな弊害があり、きわめて体に悪い生活様式だとされています。

産業医としても、在宅勤務が始まってから「糖尿病の人のHbA1cの数値が急激に悪化、もしくは新たに糖尿病になる人が増えた」という印象を持っており、危機感を抱いています。 座っているときは、人間の体で最も大きい筋肉である「大腿四頭筋」をほぼ使いません。この筋肉を長時間使わないと、血糖値をコントロールしているインスリンの効きが悪くなり、血糖値が下がりにくくなるという説があります。 貧乏ゆすりの健康効果 「筋肉に刺激がない状態は体に悪い」ということを示唆したイギリスの研究があります(※4)。約1万2000人を対象に、貧乏ゆすりの多い女性と少ない女性を比較したところ、「貧乏ゆすりが少ない女性の死亡リスクが上がった」という結果が出ました。ある意味では、迷惑にならない範囲で「デスクワークの多い人は貧乏ゆすりをしたほうがいい!」と言えるかもしれません。


在宅勤務の人は何らかの埋め合わせをして帳尻を合わせる必要があります。その選択肢としてオススメしたいのが「スタンディングデスク」の導入です。 スタンディングデスクとは、立って仕事をするために普通より作業スペースが高い位置にある机です。さまざまな人の身長に合わせるため、多くは昇降式になっています。

立って仕事をすることで、大腿四頭筋に刺激を与えられますし、カロリーの消費という意味合いにおいても効果的です。 実際に北欧の国々ではこの「立って働く」「立って会議をする」という文化が根付いています。GoogleやFacebookなどシリコンバレーの大企業でも、スタンディングデスクが積極的に導入されています。

また日本でも楽天、アイリスオーヤマといった企業で導入が進んでいます。在宅勤務の人は健康への投資として購入を検討してください。 デスクワークをしつつも30分に1回は立ち上がる、もしくは家のまわりをぐるっと1周するなどの習慣をつけるのも有効でしょう。


どうしても座位でのデスクワークを余儀なくされる人は、「運動をしっかりとり入れることで座りっぱなしの害を相殺できるだろう」という研究結果もあり、運動で座りっぱなしの害を打ち消してあげましょう(※5) (本原稿は、森勇磨著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を編集・抜粋したものです)

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